弁護士 清 水 俊

2022年10月3日2 分

[Q&A]備品の「大量持ち帰り」は窃盗にあたるか?

質問

美容院に勤務している女性から「お客様がお店の備品を持ち帰ってしまう」という相談が寄せられました。女性によると、備品を持ち帰っていくのはいつも同じ客で、帰り際、毎回バッグをトイレに持ち込み、生理用品などの備品を5個以上持ち帰って行くとのことです。

備品も大量に持ち帰れば、窃盗に当たるのでしょうか。

回答

結論としては窃盗罪に該当します。

窃盗とは、占有者の意思に反して物の占有を奪うことです。今回は、生理用品などの備品の持ち帰りについて、店側の意思が問題となります。

店側としては、店内のトイレで使用してもらう目的で生理用品等を備え置いており、持ち帰って家で使うこと、まして大量に持ち帰ることなどは許容していないと考えられます。

そうすると、その場で使う分を超えて大量に持ち帰る行為は店側の意思に反して物の占有を奪う行為ですので、窃盗罪に当たるというわけです。もちろん、持ち帰る際に店側に同意を得ていたのであれば問題ありませんが、今回のケースではそういう事情もないでしょう。

さらに、今回のお店では、注意喚起の貼り紙までしていたということです。具体的にどのような注意書きなのかはわかりませんが、「お一人様1個まで」とか「その場で使用する分のみ」などと備品使用の個数や目的が明確にされていたのであれば、なおさら貼り紙後の大量の持ち帰り行為が店側の意思に反した窃盗であると言えます。

詳しい回答内容は取材協力した弁護士ドットコムニュースに掲載されていますのでそちらをご覧ください。

弁護士 清水 俊