[Q&A]覚せい剤使用の疑いで逮捕 「現実か妄想なのかわからない」と供述…心神喪失になる?
- 弁護士 清 水 俊
- 1月27日
- 読了時間: 2分
質問
「MU-TON」の名義でラッパーとして活動していた男性が1月22日、都内で覚せい剤を使用した疑いで警視庁に逮捕されました。男性は警察の調べに対し、「覚せい剤を使用したかどうかわからない。自分が現実なのか妄想なのかわからない」などと供述していると言います。もし仮にそのような状況で薬物を摂取した場合、犯罪の成否に影響はないのでしょうか。
回答
そもそも、「自分が現実なのか妄想なのかわからない」状態とは具体的にどのような状態なのか。いつ、どのような理由でその状態がもたらされたのか。報道内容ではそこまでのことはわかりませんが、仮に病気などが理由で意思能力、判断能力が失われた状態で覚せい剤を使用した、ということであれば、場合によっては責任能力がなく、罪に問えない可能性もあります(刑法39条1項)。
ただ、覚せい剤の常用など自らそのような状態を招いているということであれば完全な責任能力を問われると考えます。
別の薬物事件で保釈中とのことなので後者の可能性が高いように思います。
薬物事案で同じような経験はありませんが、酒に酔っていたので犯行時の記憶がないといった供述を聞くことはあります。
初めて飲酒して病的に酩酊状態になったのであれば別ですが、飲酒により粗暴傾向となることを認識しながら飲酒して犯行に及んでしまっているケースが多く、そのような場合には犯罪の成否や責任能力が問題となることはほとんどありません。
なお、別の薬物事件で保釈中だったようですが、今回の逮捕だけで保釈が取り消されることにはなりません。なぜなら、保釈は逃亡や罪証隠滅、保釈条件違反などを理由に取り消されますが(刑事訴訟法96条)、「新たな犯罪をした」ことは保釈取消しの条件ではないからです。
詳しい回答内容は取材協力した弁護士ドットコムニュースに掲載されていますのでそちらをご覧ください。
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