質問
自転車ロードレース「ツール・ド・フランス」で、沿道から道路に乗り出していた観客のプラカードに選手が衝突し、大きなクラッシュ事故となりましたが、観客の法的責任はどうなりますか?
回答
怪我をした選手との関係では、「傷害罪」が成立し得ます。
原因となった観客には選手に怪我をさせるつもりはなかったかもしれません。ただ、プラカードを路上に張り出す形で掲げること自体が「暴行」といえますし、暴行から傷害の結果が発生すれば、原則としてその責任を負うことになります。
すなわち、今回のケースでは、観客はテレビカメラにプラカードを向けていたようですが、そのカメラのすぐ後ろに高速度で走っている選手の集団がいることはわかっていたはずです。
そのような状況でプラカードを路上に張り出す形で掲げれば、選手らとぶつかる可能性があることは十分認識できたでしょうし、それにもかかわらず掲げていたのだとすれば、客観的には「ぶつかるかもしれないけど、ぶつかってもかまわない」と考えていた、すなわち少なくとも「暴行」については故意があったと考えられるわけです。
そのほか、転倒した選手たちや主催者に対する民事賠償の責任が発生し得ます。
その点も含め、詳しい回答内容は取材協力した弁護士ドットコムニュースに掲載されていますのでそちらをご覧ください。
弁護士 清水 俊
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