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[Q&A]「マスク拒否」の客に対して施設側はどこまで対応できる?

質問

施設側はマスク着用を拒否する客に対して、利用拒否や退去要求ができますか。


回答


誰を施設内に入れるか入れないかは、不合理な差別に当たらない限り、基本的に施設側の自由です。

ブランディングなど経営戦略上の判断も尊重されるでしょうし、施設の従業員やほかの利用者の健康・安全にすべきという社会的な要請に基づいて一定の条件で利用を拒否する場合もあるでしょう。

「ゴルフ場やレストランのドレスコード」などは前者の例でしょうし、「新型コロナウイルス感染拡大防止」を理由にした入店拒否は後者の例といえます。

 マスクが感染予防に一定の効果が認められるという検証結果も発表されていることも踏まえると、仮にマスク着用を拒否する人の利用を拒んだとしても「不合理な差別」にはあたらないと考えます。

 一方、マスクをしていない日本人は利用させて、マスクをしない外国人の利用は拒否するといった取扱いの場合には、国籍による差別として、違法・損害賠償の対象になる可能性があります。


 ただ、強制的に退去させることは正当防衛などに当たらない限りはできませんので、退去を何度求めても立ち去らない場合には警察などに頼らざるを得ないでしょう。

 要求を受けたにもかかわらず、人の住居等から退去しない場合、不退去罪(刑法130条、3年以下の懲役または10万円以下の罰金)が成立して、刑事責任が問われる可能性があります。

 また、退去に従わなかったことによって、施設側に何らかの損害が生じた場合には、不法行為に基づく損害賠償という民事責任が発生しえます(民法709条)。

 

 詳しい回答内容は取材協力した弁護士ドットコムニュースに掲載されていますのでそちらをご覧ください。


弁護士 清水 俊


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